みなさん、こんにちは!
インビザライン治療をご存知でしょうか?
従来のワイヤーではなく、透明なマウスピースを装着することで歯並びを改善する方法で、いまとても流行しています。
患者さまにとっては目立つワイヤーをつける必要がないため利便性が高い治療方法です。
当院でも主に部分矯正に応用していますが、インビザライン治療を取り扱っております。
実際、今まで私が行なってきたワイヤー矯正と比較すると、患者、歯科医師側ともに利点が多いな、と感じております。
しかしそんなインビザライン治療について今思うことがあります。
それは流行しているがゆえに不適切なインビザライン治療が増えすぎている現状です。
(15〜20年ほど前のインプラント治療によく似ています。)
先日も他院にて抜歯を伴うインビザライン治療が終わった方が来院されました。
診察を行うと、ぱっと見はきれいに並んでいるのですが、奥歯が左右とも全然噛んでいないのです。
(インビザラインは最初に正しくゴール設定して行わないと、奥歯の噛み合わせがおかしくなりやすい)
このような症例のリカバリーにはかなりの時間と労力とさらなるご費用がかかってしまいます。
このような事例は決して珍しいことではなく、いま日本中で起こっています。
今回特に患者さまにお伝えしておきたいのですが、「抜歯を伴うインビザライン治療」は相当矯正治療の実力と経験がないと、きれいで安定した歯並びを獲得することは難しいということです。
実際インビザライン矯正で抜歯ケースにきちんと対応できる歯科医院は名古屋でもかなり限られてくると思います。
※またここ最近乱立している歯科メーカーですらない、インビザラインを模倣した「〜〜ライン」とかのサードパーティはそもそもお勧めいたしません。
よく似ていますが、素材や様々な点でインビザラインには独自の特許があるため、あくまで模倣した製品です。
したがって当院の場合、抜歯を伴う症例の場合は、よほど難易度の低い症例でない限り、ワイヤー矯正と併用するかたちをお勧めしています。
というより難易度の高い症例は基本的に私の信頼するインビザラインに精通した矯正専門医をご紹介いたします。
(紹介は無料でするので遠慮なくご相談ください。そっちの方が確実に治りますし、治療期間も早いです。)
また一般の方がインビザラインに精通している矯正専門医を見つけることは至難の技というかほぼ無理です。
症例数が多いから実力があるわけでは決してないのでご注意ください。
そしてこれは歯科の先生にもお伝えしたいのですが、ワイヤー矯正ですら抜歯ケースを経験していないのに、書籍やセミナーで学んだだけで、いきなりインビザラインを用いた抜歯ケースにトライするのは危険というか無謀すぎます。
自分の実力を理解して、その許容量を超えるような症例には紹介できる専門医と連携しておくことも歯科医院として重要でしょう。
要は肝心なところは
「症例の難易度の見定め(初診時の診査診断)」
です。
先日とある名古屋のインビザライン治療に精通している矯正専門医とディスカッションをしました。
彼が言うには「ラビアル矯正(普通のワイヤー矯正)、リンガル矯正(裏側ワイヤー矯正)、インビザラインと20年以上やってきたけどインビザラインが最も難しい」と語っておりました。
実際、インビザライン治療は当院でも行なっており、症例によっては本当に短期間で良い結果を出すことができる革新的な矯正治療です。
そのようなインビザライン治療が世の中で正しく認知され、広まっていくためには以下の2点を注意すると良いと考えます。
・患者さまは費用や通いやすさなどの利便性だけで安易に始めない方が良い。
何か問題が起きた時に対応できるように少なくとも「抜歯を伴うワイヤー矯正」の経験のある歯科医院を選択するべきです。
特に「抜歯を伴うインビザライン治療」はインビザラインに精通した矯正専門医で治療を受けるべきです。
・歯科医師は自分の実力を超える症例には手を出さず、無理だと思ったら速やかにインビザラインに特化した矯正専門医に紹介する。
まだまだ新しい矯正治療システムなので、歯科矯正界自体も暗中模索している側面はありますが、良い治療であることは事実なので、正しく社会から認められるようになると良いですね。
歯科医師
飯田 真也